名もなき島
昼と夜の顔を持つ「名もなき島」
遠い遠い昔、小さなこの島に建物が建ち始め、険しい波を乗り越えた人々が集まって、小さな修道院と村が出来上がった。
地図にもなく、名前もついていない小さな村だったけれど、青い海の上に立つ修道院と村は、とても美しく平和だった。
誰かが流行り病から逃れようとこの島に住みついた時から、「名もなき島」と世間との関係が始まったが、訪れるものが増えても島には名前がないままだった。
ただ島内にある「修道院」に導かれるように人々が集まり、建物が増え、果てしない懺悔と祈り、神への賛美歌が募り、島の時間はゆっくりと流れた。
しかし、罪を悔やまない新たな訪問者の到来により、島の空気は澱み、真昼の日差しも届かないほど、黒い闇の世界が訪れた。
島の昼は相変わらず美しいが、夜の風景は変わってしまった…。