アマツ
ある船乗りが航海中に遭難し、荒れ狂う海を幾日も漂流していた。
もう助かることは無いと絶望していたその時、とある陸地に漂着した。
しかしそこはミッドガッツ王国でも、シュバルツバルド共和国でもなく、見たこともない異国の地だった。
流れ着いたその船乗りの姿を見た町人達は、異国からの来訪者であることを一目で悟り、手厚く迎え入れた。
船乗りは傷の手当てを受けながら、幾日もかけて1枚の海図を描きあげ、とうとうミッドガッツ王国南端の港町・アルベルタへ帰ることができた。
船乗りは帰還後、全ての力を使い果たしたのかすぐに亡くなってしまったが、彼の海図にはいくつもの難所や船旅の危険について非常に詳しく書かれていたので、国王トリスタン3世に献上された。
その海図を見たトリスタン3世は、すぐさま御触れを出した。
「この地図に記されている国へ行くための航路を見事開拓した者には褒章を授ける」と。
多くの冒険家や船乗りが海に出たが、褒賞に目が眩んだ者達は皆、海に消えてしまった。そんな中、山岳都市フェイヨンに住む冒険家が立ち上がり、見事アマツへの航海を果たしたのだ。
彼はその異国の地の特産品などを船に積んで持ち帰り、トリスタン3世に航海の成功を報告した。これを受けた3世は、彼が開拓した航路を利用して外洋へ進出することを決め、こうしてルーンミッドガッツ王国と異国の地を結ぶ航路が出来上がったのだ。
ミッドガッツの人々はその異国の地について少しずつ理解を深めていき、その地の名前が「アマツ」であること、町の北西にそびえたつ城が「東湖城」と呼ばれていることなどを知った。
-それから5年後
ルーンミッドガッツ王国とアマツは本格的な交易を始め、アマツの存在は、ミッドガッツの人々にも大きな活力を与えた。こうして両国はお互いの文化を少しずつ受け入れながら成長し、今日に至っている。