| 「シィルティーナ!私だって一人では何もできないわ。 今までだって貴女が居たから頑張ってこられたのよ。
 確かに今は奇跡の力をうまく使えないかもしれない。
 それでも諦めずに毎日毎日、一生懸命ホーリーライトを
 練習している貴女のこと、いつだってずっと見ていたわ」
 
 「そんなシィルティーナに私は勇気付けられたのよ!」
 
 「でも、私は……」
 
 「シィルティーナ……あれを見て」
 
 ピアリィは青白く光るポリンに挑む冒険者たちを指差しました。
 「一人で全てができるわけではないわ。
 いくらその人が優秀でも必ず限界はあるものよ。
 だからこそ、人間には自分の役割というものがあるの」
 
 「例えばナイト。モンスターの攻撃に耐えて、強い魔法を詠唱するための時間稼ぎをしてくれるわ」
 「例えばプリースト。モンスターからの攻撃を耐えている前衛に回復をするの」
 
 シィルティーナはハッと息を呑んだ。
 そんなシィルティーナの表情に気付きながらも、ピアリィは話を続けました。
 
 「どんなにちっぽけな力でも、自分の役割というものを持っているの。
 これは生まれた時から誰にでもあるものよ。
 だからきっとシィルティーナにもやれることはあるはずよ。
 それに頑張ったことは、必ず絶対誰かの役に立つのだから……」
 
 「これで終わりだ!」
 冒険者達の最後の一撃がポリンに止めを刺し、眩い光と共にポリンは消滅して行きました。
 一瞬静まり返り、戦いの場は勝利という大歓声に包まれました。
 
 「シィルティーナ。きっと貴女も自分に合った役割を
 いつかきっと見つけられるはずよ。それじゃあ帰りましょうか……」
 
 「うん。お姉ちゃん、私……頑張ってみる!」
 
 そんな健気な妹の一言にピアリィの顔はゆっくりと微笑みました。
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