シィルティーナは、自分の行動で皆に迷惑をかけてしまったという罪悪感でいっぱいでした。
あの時、黒装束の男を捜していた騎士達に、
しっかりと闇輝石の情報を伝えていればと……
自分は何もしていないと誤解を解くために、その場から逃げようとせず、
皆に心の底から問いかければ分かって貰えたかもしれない。
後悔ばかりが頭に浮かびますが、
それでも、こんな私でも何かしたい、力になりたいという気持ちもありました。
「お姉ちゃん……私、今まで何もできなかった。
そしてまたお姉ちゃんを危険な目に合わせようとしている、
でも、みんなの力になりたいの!お願い一緒にあの盗賊を探して!」
いつになく必死に訴えるシィルティーナに、ピアリィはそっとうなずきました。
街の中心部にそびえる時計塔。
そして、街全体を網の目のように走る清らかな水路。
ここは国境都市アルデバラン。
黒装束の男を探し出すことを決意し、アルデバランに赴いた姉妹。
アルデバランの街やその周辺では、黒装束の男による襲撃が起きていないためか、
普段どおり多くの商人や冒険者たちで賑わっていました。
「良かった。お姉ちゃん、まだここには来ていないみたいだよ!」
「ええ、そうね……でも既にいくつかの街が襲撃されているわ、
ここが襲撃されるのも時間の問題よ」
そんな姉妹の前に一人の男が颯爽と登場しました。
「ふぅ……。何とか間に合ったかな?まさか俺だけ仲間はずれとかないよな?」
「お兄ちゃん……。
ありがとう……とっても心強いよ!」
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