【エピローグ】
それから……
「やっとお姉さんとゆっくりお話ができますね」
「ごめんなさい。なかなかお話できる機会がなくて……」
「いや、仕方ないですよ。あんな事件がありましたからね」
シィルティーナ、ピアリィ、オルトラットの一行は旅を続けていました。
「いやぁ〜本当に綺麗になりましたね!昔からかなり色っぽいと思っていたし、
このまま成長したら将来とんでもない美人になるのだろうなって思っていたけど、予想以上ですよ!」
「まあ、剣だけじゃなくてお世辞まで上達したんですね、オルトラットさん」
「お世辞じゃないですって、本当、立派なプリーストにもなっているし、
まさに才色兼備ですね。もっとお姉さんにヒールされたいなぁ!」
「あらあら、ヒールをもらうためにワザと怪我するような人にはかけてあげませんからね」
「うっ……そんなぁぁぁー……」
ピアリィとオルトラットの楽しげな会話を見ていたシィルティーナは、
顔を膨らませて、なんだか機嫌が悪いようです。
シィルティーナは我慢できずにオルトラットのわき腹に正拳突きを決めてしまいました。
「ぶはっ!」
地べたをのた打ち回り、悶絶するオルトラットを見て、なんだかすっきりしていました。
「そんなにヒールが好きなら自分ですればいいのに。
……それにしても、私が殴っただけでお兄ちゃんとっても痛そう」
「シィ、シィルティーナ……こんなに力が強かったのか……。
奇跡の力ばかりに目がいっていたけど、拳を使っての戦いなんて全く考えていなかったよ……」
そして、とうとう自分の才能に気がついたのでした。
「……お姉ちゃん、私モンクになる!!」
モンクの転職試験を異例の早さで合格した彼女は、
ピアリィとオルトラットと共に、巡礼する旅を続けているそうです。
(誰にでも特技ってあるものね!)
故郷を思い浮かべながらシィルティーナはそう思いました。
今日もルティエは平和です。
異界の入り口も綺麗に消えて、いつものように白い世界と、
時を伝える鐘の音が、街に響き渡っていました。
|