「お兄ちゃんはあの石のこと知っているの?」
「あいつは闇輝石という名前らしい。怖いという気持ちを発しているお前を護ろうとしているんだ。
闇輝石に『もう大丈夫』という気持ちを伝えればきっと止まるはずだよ」
「うん。もう大丈夫だよ!お兄ちゃんが付いていてくれるもん!絶対止まるよ!」
そう言うとシィルティーナは胸を張り、ズンズンと闇輝石の方へと歩きはじめました。
そのとき……
急に黒い影が現れ、闇輝石を拾い上げてしまいました。
「おい、お前なにやってるんだ!!」
オルトラットのその声に驚いたシィルティーナは思わず足を止めました。
目を凝らしてみてみると、そこには闇輝石を手にして、薄笑いを浮かべている男の姿がありました。
なんとそれは、シィルティーナが助けようとした黒装束の男だったのです!
「……こいつは俺様のものだ!やっと返してもらったぜぇぇぇ!」
「あ!あの時のおじさん!」
「これを使えば何だって手に入るんだぁぁー」
盗賊を捕まえようとオルトラットは駆け出しましたが、
カッと石が紫色に輝き出し、モンスターが召喚されたのです。
そして、男はヒャッホーと叫びながら颯爽と飛び上がり、異界から飛び去って行きました。
「大変だ!!闇輝石が悪用されたらとんでもないことになる!」
「皆さん、私達も後を追いましょう!」
オルトラットたちは盗賊を追うために、すぐに異界から出ましたが
既に盗賊の姿を見つけることはできませんでした。
「ちくしょぉぉー!! 逃げられちまった……」
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