強大な力を、その身に秘めるルナーシェとミルキニア……
その力の暴走を抑制する儀式が行われてから数日……
ルナーシェは、自分の家へと戻っていた。
ミルキニア率いるモンスターの襲撃でどうなっているかと
心配していたが、思っていたより被害も少なく、
また住むことが出来そうだ。
「ふぅ、ちょっと休憩」
だいぶ片付いたけれど、モンスターに襲われただけあって
まだまだ家の中は壊れた家具でいっぱいだ。
「いろいろな事があったな……」
思い出すのは、自分のために一生懸命になってくれた人たちの事ばかり。
ミルキニアの執拗な攻撃から私を守り、
力の暴走を抑制する儀式に協力してくれた多くの冒険者たち。
1,000年前に一族が交わしたという血の契約の下に現れたラム・ブラーエ。
あの人たちがいなかったら、私は今頃どうなっていたんだろう。
彼らには感謝しても感謝しきれない……。
そして、初めて会った妹……ミルキニア。
その妹に命を狙われていた事実……。
ショックだった。
……でも、彼女が去り際に発した言葉。
『姉さん、ごめんね』
儀式の間、ぼんやりとした意識の中に聞こえてきた声……。
ただの空耳だったのかもしれない。
……でも、それでも。
澄んだ冬の空気が心地よく肌をなで
積もった粉雪を舞い上げ吹き抜けていく。
「いつかまた……会えるよね」
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