『蜃気楼の塔』調査は、前回以上に困難を極めた。 
                    四つの場所に分かれて出現した塔から始まり、 
                    凶悪さを増した数々のモンスター、さらに複雑になった階層……。 
                    苦戦を強いられた調査であったが、冒険者達のめざましい活躍によって、 
                    今回の内部調査も無事成功させることができた。 
                        残念ながら、今回も"知の象徴"に関する情報はほとんど得ることが出来なかったが、 
                          今回、新たに開かれた部屋から、塔に住んでいた者が書いたと思われる文書が発見された。 
                          時間の経過により古ぼけているはずのその書物の、保存状態はすこぶる良好であり、 
                          充分に文字の判別がつくものであった。 
                          問題は、その文書に記述された文字に、 
                          ジュノーの図書館に残されている古文書では解析できない文字が含まれていたことである。 
                          そのため、膨大な知識を持つスノートでも、現地で解明することは難しく、 
                          発見された文書は場所をジュノーに移して研究されることとなった。 
                      また、塔内にて、 
                        今動き出しても不思議ではないほどに精巧な、石像も確認されている。 
                        この石像は、一体何の目的があって設置されたものなのだろうか……。 
                      『蜃気楼の塔』は新しく謎を生み落とし、 
                        人々が見つめている中、蜃気楼の彼方に消え去っていった。 
                        あとに残るのは、調査を終えた調査団の姿と澄み切った青空だけで、 
                        その場所に塔が建っていたという証は何も残ってはいなかった。 
                      塔が次に出現するのは、いつになるのか? 
                        姿を現すことは、もうないのだろうか? 
                    ――いや、『蜃気楼の塔』は再び姿を現すだろう。   
                    謎の解明に挑む探求者がいる限り、"知の象徴"を追い求める挑戦者が存在する限り……。 |