それから数ヶ月後
とある家の前を通ると、
甘い香りと共に明るい声が聞こえてきました。
「サフィレナ〜。粉の分量はこのぐらいでいいのかな?」
「うん。そんな感じだよ」
そんな二人に少し引きつった表情を浮かべる兄のマトルチェ。
「ず、随分仲が良さそうじゃないか……」
チョコレートと共に想いを伝えあった二人は、
お菓子作りがすっかり好きになりました。
休みになれば二人揃ってサフィレナの自宅で
様々なお菓子を作っています。
恋愛も不器用、お菓子作りも不器用なルカライですが、
そんな彼にも良いところはたくさんあります。
中でもサフィレナが彼を好きになった理由の一つでもある
どんなことにも一生懸命に取り組む姿、
サフィレナはそんな真面目な彼に心惹かれていたようです。
いつしか二人の手で、真っ白かった紙に一つまた一つと、
新しいお菓子のレシピは刻まれていくのでした。
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