第六話続き
あるところにロリルリのローラがいました。
彼女は仲間のモンスターからはぐれて生きてきたので、どこか自分本位で礼儀をよく知らず、
ほかのモンスターたちに溶け込むこともできませんでした。
そんなローラに一通の招待状が届きました。
それはハロウィーンの大舞踏会への招待状でした。
招待主は舞踏会の開催者であるハロウィーン城の王子様。 ハロウィーンの大舞踏会に出場することができれば、もう自分を疎む人はいなくなるかもしれないと思い、 ローラはそれにどうしても参加したくなりました。
しかし、礼儀のことなど何も知らないローラは、紳士淑女の集まる舞踏会に参加などできません。 舞踏会の期日はせまる一方。ローラはあせりました。 そんなある日。ハロウィーンの魔法使いを名乗る人物から手紙がきました。
「どんな人でも立派なレディにします。〜ハロウィーンの魔法使いより〜」
喜ぶローラ。その人物はどこかの人間の街にいるようでした。 彼女は思い切って探しに出かけました。 しかし、道に迷い、いつしかイズルードの街に迷い込んでしまったのです。
困ったローラは、冒険者に頼んでつれていってもらうことにしました。
快く引き受けてくれた冒険者は彼女を連れてハロウィーンの魔法使いのもとへ。
無事に魔法使いに会えたローラは、彼が教えてくれるダンスの練習や教養を身につけることで、
少しずつ変わっていき、それにつれて周囲の目もかわってきたようです。
そして、立派なレディに成長した彼女はハロウィーンの大舞踏会に参加することができました。
見事、王子様のハートを射止めたローラ。
ところが……大舞踏会も盛り上がり、王子様がローラを認めた直後、
突然、王子様もお城もすべてが消え去ってしまったのでした。
驚くローラの前にハロウィーンの魔法使いが姿を現します。 そして、大舞踏会はすべて、彼が作った魔法だったことを明かしました。 落胆する彼女に魔法使いは優しい微笑みを浮かべ、 かつて魔法使いは、ローラに助けられたことがあり、その時の恩を返すため、ローラを助けるつもりで この壮大なハロウィーンの魔法を仕組んだことを告げました。 彼はローラが、仲間からはぐれて生活していることをずっと気にしていたのです。
確かにローラは、立派なレディになることで、仲間も増えました。もう彼女を疎む者もいません。 立派なレディになる事とは、仲間とうまくやっていくための礼儀を身につけるという事だったのです。 ローラは大舞踏会のための修行でそれを自然に身につけました。 そして、ついにローラは王子様やお城のかわりに、本当にほしかったものを手に入れることができたのでした。
「礼儀」
それは、人との関係を築く上でもっとも大切なもの。 ほんの少しの礼儀を持つことで、他者との関係を驚くほど良好にできるものなのである。