モンスターサイドストーリーズ
第二話続き
『ワンだふるリーダーになりたい！』−エピローグ−
平和的な考えを持つコボルドの『こじろー』は、争ってばかりいる人間と共存していきたいと考え、一族の中でも最も発言力のあるコボルドリーダーになりたいと考えていました。
しかし、どうすればリーダーになれるのかまったくわからず、一人で思い悩んでしまいました。
そして、彼は自分ではリーダーに怖くて聞けなかったので、コボルドリーダーのジョニーから自分の代わりにリーダーになれる秘訣を聞いてきてくれる人を探すために、ゲフェンの街へやってきたのです。
彼の話を聞いたある冒険者は、他力本願なこのコボルドに困惑しながらも、悩み苦しみ食事も喉を通らないというこのコボルドを放っておけず、ジョニーの元を訪ねました。
冒険者がジョニーに秘訣を尋ねると、ジョニーは何かを察したのか、教えてあげる代わりに頼みを聞いて欲しいと言いました。
ジョニーの頼みとは、部下の一人の『ごんた』が抱えている悩みを解決してほしいというもので、冒険者は早速『ごんた』の元を訪ね、悩みを解決しました。
ジョニーの元へ報告に戻ると、リーダーの秘訣とは冒険者が今してきた行動なのだと教えてくれました。
その秘訣を『こじろー』に教えると、まだ足りないからもっと聞いてきてほしいとお願いしてきました。
冒険者が再びジョニーの元を訪ねると、今度は部下の一人の『かい』が悩みを抱えているとのことで、無事解決して戻り、もう一つの秘訣を教えてもらいました。
実はジョニーは、秘訣を知りたがっているのが最近群れから姿を消した『こじろー』だと最初から気がついており、冒険者を通じて大事なメッセージを『こじろー』に伝えようとしていたのでした。
『こじろー』にもう一つの秘訣を伝えると、彼は自分に一番欠けているものに気がつきました。
そう……彼に一番欠けていたものは、『他者を思いやり、助ける心』だったのです。彼は自分の願いをかなえる為に自分のことばかり考え、仲間のことすらまったく見えていなかったのです。
彼は出会ったばかりなのに自分のことのように助けてくれた種族を越えた友人の姿に心打たれ、大切なことに気付いたのです。
その後、彼は群れに戻り、彼なりの努力を重ねるうちにリーダーとしての格が自然についていきました。これからきっと、夢を叶えるための活動に打ち込んでいくことでしょう。
「助け合い」
種族を越えて、困っていた自分を助ける為に頑張ってくれた友人のように、思いやり、助け合うことを『こじろー』は忘れないだろう。 この心がけは、人間もモンスターも共通の大切なことなのだ。
