じっと見つめていると、吸い込まれそうになる――。 その日、異界の大地から冒険者が持ち帰った物は、そんな不思議な石だった。 感覚だけではない。 実際に、この石には不思議な力が備わっていた。 赤色に光ったかと思えば、急に青く光りだし、しばらくすると元の石に戻る。 調査団は石を徹底的に調べあげ、その結果、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に 発光する現象が確認された。 ……異界で確認された界王の数と一緒だ…… 調査団のひとりが気づく。 これは偶然の一致なのだろうか。 しかし、発光現象以外には何ひとつ掴めないまま時は過ぎ、 最後に紫色に大きく光り輝いたのが確認されてからは、石が発光することはなくなった。 と、同時に、異界の大地への入り口も消え去ってしまったのだった。 それから月日は流れ―― 調査は続行されていたが、異界の大地は姿を見せない。 石ももう光ることはない。 進展を見せない調査に苛立っていた調査団長は、石を破棄することに決め、 それを思い切り地面に投げつけた。 ガラス細工のように砕け散る石。 その刹那、調査団長が地面の異変に気づく。 調査団長は、ひとつの可能性を感じ、ふたたび石を投げつける。 すると、そこから徐々に地面に亀裂が走り、眩い光を放ちながらついには割れて飛び散った。 その先には、あの日見た「異界」を彷彿とさせる空間が広がっていたのだ。 空間があらわれると同時に、今まで輝きを失っていた石たちも光を取り戻す。 調査団長は、事態を「ミッドガルド連合軍」に報告。 四度目の異界調査が開始されたのだった。