マトルチェは視線の先を見ました。
そこには大きなハート型チョコレートの束がどっさりと置いてありました。
しばらくすると、サフィレナはお気に入りのくまのぬいぐるみを抱きしめながら、
ソファに横たわり一人で深くため息をついていました。
普段は鈍感なマトルチェでしたが、
妹のいつもと違う雰囲気を見て、誰かに恋をしていると気づいてしまいました。
大人になったのだなと思いながらも、
悩んでいる妹の姿に兄としては複雑な気持ちで、とても胸が痛みます。
ほんの少し迷いましたがマトルチェは思い切って
話を切り出しました。
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「サフィレナ。お前、好きなやつがいるんだろう?」
「ど、どうして、そのことを……」
「そのくらい兄には分かるさ。
なあ、悩むくらいならいっそ思いきって告白したらどうだ?」
「……無理よ、わたしなんかじゃ相手にされないわ」 |
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