深淵の回廊

混血のプリンセス

遠い昔、その大陸は、異なる人種、文化、信仰が存在する七つの王国に分かれていた。
各国は「至宝」と謳われる魔法具を保有し至宝の恩恵により、それぞれ繁栄を築き上げていた。
一方で、至宝を巡る各国の争いが絶えることはなかった。

各国の力は拮抗しており、戦乱の時代が長く続いたが
突如現れた、神の如き力を持つ一人の王によって遂に全土統一が成し遂げられる。
争いの無い世の到来に沸き立つ人民であったが
その裏には、王の妃という表の顔を持つ
「魔女」の暗躍があった。

巨躯の王に取り入った魔女は、権謀術策を巡らし
手始めに南にある王国を滅ぼすと国の至宝を手にするとともに、
秘匿されていた神話時代の遺跡へと巨躯の王を誘う。
遺跡内の試練を踏破し、神の如き力を得た巨躯の王は
全土の統一に邁進することになるがすべては魔女の計画通りであった。

そして全土統一から時を置かず、魔女は本性を現す。
集めた至宝の力で王を害し、玉座を簒奪したのだ。
事は秘密裏に行われ、その事実に気付いた者は極めて僅かであった。

魔女の傀儡と化し偽りの繁栄を極める王国。
そして誰もが気づかぬうちに、蝕まれていく世界。

魔女の計画が、完全に達成されたと思われたその時、
異界より現れた者により、魔女は追い詰められ、王国は世界から切り離された。
世界は魔女の存在を王国ごと呪われた地へと追いやったのである。

しかし、呪われた王国の深淵に身を潜めた魔女は雫が岩を穿つほどの長き時の果てに
力を取り戻すと、遂に現世へ帰還するために動き始めた。

時を同じくして、二人の人物が冒険者との接触を図る。

二人の目的はただひとつ……「魔女の討伐」であった。

登場人物

王女メア

世界の敵である魔女を討たんとする者。
秘密裏に魔女に対抗する仲間を集めている。

夢で語りかけてきた謎の人物。
古王グローザを呪縛から解き放とうとする冒険者の前に立ち塞がる。

虚ろわざる剣士