ふーむ。ミッドガルドにはたくさんの冒険者がいる。しかしな、冒険のしかたってのは人それぞれなわけだ。ギルドを中心に活動したい者、いつも一匹狼でいたい者、そしていろんな冒険者と交流したいと思っている者。話しかけるなら、3つめのタイプが狙い目だな。 鳴かない鴉は「臨時公平パーティー」というのには参加したことがあるか？ 冒険者の話では、もっとも幅広く顔なじみを作りやすい場所だと聞くから、コミュニケーション重視のパーティーに入ったり、自分で作ったりしてみるといいかもな。いずれお互い気の合う仲間が見つかるかもしれないぞ。それじゃあひとつ勇気の出る精錬をしておこう。カン！ カン！ カン！ 焦らず、自分からどんどん声をかけて少しずつ道を切り開くのだ！

信頼を築き上げるにはとても時間がかかるが、それを壊すことは一瞬でできるという。リュシィのように、ケンカ別れした仲間を想うおたよりは実はとても多いのだ。 いいか、この世界のコミュニケーションの基本はチャットだが、チャットというのは会話以上に気軽にいろんなことが言えてしまうものだ。普段は言わないような大げさな口調で喜ばせることも、傷つけることも簡単にできる。だからこそ普段以上に考えなければならないんだな。それを言って本当に後悔しないか。言われた人がどんなふうに思うか？ リュシィが想い人に会えるかどうか、それは俺には分からない。ただひとつ言えることは、今のままでは会えたとしてもまた同じことを繰り返してしまうぞ。 今のお前にとって必要な強さとは、どんなモンスターでも倒せる強さではなく、気持ちに余裕を持って、人を思いやれる優しさを持つ心の強さのようだな。その精錬は俺ではなく、リュシィ自身で手がけるんだ。強く優しい冒険者になるんだぞ。