魔界のとある宮殿。
玉座に座る悪魔が、闇の結晶体で出来た水晶玉を通して人間界を見ながら物思いに耽っていました。
彼は「魔王モロク」よりも階位の高い魔神として魔界に君臨していますが、
自分よりも弱い魔王モロクが人間たちの恐怖の的になっている事に苛立ちを感じていました。

「何故、アノもろく程度ノ小物ノ名ガ知レ渡ッテイテ、俺様ノ名ガ知ラレテイナイノカ？
人間界ニ攻メコンデ、街ヤ国ノ一ツデモ潰セバイイノカ……？
ダメダ！もろくノ二番煎ジデハ意味ガ無イ……一体ドウシタラ……」

ふと、看板で作ったモンスターを砦に似せた施設に設置している人間たちが水晶玉から見えました。

「何ヲヤッテイル……？もんすたーぎるどノ砦ニ対スル訓練ダト……ソウダコレダ！」

彼が自分の名を人間たちに知らしめる為に選んだ舞台。
それが過去、2度に渡り人間とモンスターが繰り広げた激しい組織戦、
モンスターギルドの砦でした。

そして、どこまでも青い空が広がる、ある日のこと。
ルーンミッドガッツ王国の平和を守るプロンテラ騎士団は、
モンスターギルドの侵攻を許したという過ちをもう2度と繰り返さないために
模擬演習場を舞台に演習を開催していました。

冒険者たちの参加もあり、ある種のお祭り騒ぎのなか
演習は順調に進行していたのですが……

「このモンスターたちは、我々が用意した物ではないぞ！」
「一体どうなっているんだ！ギャアアアア！」

演習を行なっていた兵士たちより悲鳴があがります。
想定外の事態に慌てながらも応戦する人間たちを見下ろして、
彼はこみあげる衝動そのままに笑い続けていました。

「サア、もんすたーぎるどノ砦ノ再開ダ！貴様ラ人間ニ真ノ恐怖ヲ味アワセテヤル！」

はたしてプロンテラ騎士団は、3度目となるモンスターギルドの侵攻を撃退できるのでしょうか……!?