昔、フェイヨンでは人の子と鬼の子が
一緒に遊ぶ風景をよく見ることができました。
人と鬼は、争いごとも無く平和に暮らしていたのです。

ところが、ある日のことです…
人の子が鬼の子と遊ぶため、
いつもの場所で待っていても
来るはずの鬼の子があらわれません。
人の子は、待ち続けました。
しかし日が暮れはじめ、子供が待ちくたびれて
帰ろうとしたその時です。
突然、草陰から何かが飛び出してきました。

人の子は突然のことに驚き逃げようとしましたが、
よく見ると、それはいつも一緒に遊んでいる
鬼の子だったのです。
人の子が喜んで近づくと、鬼の子はこう言いました。

「オラ モウ アソベナイ
 カナシイ デモ アソベナイ…」


人の子は突然のことに驚き、理由を聞きましたが
同じ言葉を繰り返すばかりでした。

「オラ オマエ トモダチ
 イツマデモ トモダチ……」


最後にそう言い残し、鬼の子は走り去ってしまったのです。
人の子はあわてて追いかけましたが、
鬼の子の足は速く、すぐに見失ってしまいました。

町へ戻った人の子は、母親に鬼の子の話をしましたが
母親は喧嘩でもしたのだろうと、気にも留めませんでした。
次の日も、その次の日も、人の子はいつもの場所で
待ち続けましたが、鬼の子はあらわれませんでした。

それから数日たったある日…
傷ついた一人の冒険者が町を訪れました。
話を聞くと、なんと鬼に襲われたというのです。
町の人々は、何かの間違いだろうと
冒険者の言葉を信じようとしません。
ところが、その後も森で鬼に襲われたという話が続き、
ついに住民の間で集会が開かれました。

長い話し合いの末、念のため、
しばらくの間、町の外には出ない事を決めたのです。

そしてある日の夜…
町のあちらこちらで、大きな物音が聞こえてきたのです。
物音に気づいた住民が恐る恐る戸の隙間からのぞいてみると
外は暗かったため、はっきりと姿を見ることはできませんでしたが、
鬼に似た者がうろついていました。

夜が明け、物音がしなくなってから家の外に出てみると
町は酷く荒らされ、たくさんの足跡が残っていたのです。
複数の住民が鬼を見たと証言したことと、足跡から
人々は鬼の仕業であると判断しました。

それからしばらくして、住民が町を直しているところに、
鬼がやってきたのです。
何かを話し出そうとしていましたが、
人々は襲われると思い、家の中に逃げ込んだまま
二度と鬼と話すことはありませんでした。

以来、人は鬼を害なす者として考えるようになり、
人と鬼は関わりを持たなくなったのです…。

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その後、鬼は町に姿をあらわすこともなく、
この言い伝えも徐々に忘れられていきました。

時は流れ、アルベルタで買い物を済ませたある青年が
フェイヨンまでの帰り道の途中、
小さな子供が遊んでいるのを見かけました。
一人で遊んでいる所を見て不思議に思い、
近づいた瞬間、その子供がすごい形相で襲ってきました。
そう、小さな子供に見えたもの、その正体は鬼だったのです。
今、フェイヨンでは言い伝えの再来であるとして、
鬼から町を守るために準備を進めているそうです。